こんにちは、YAMANASHI TECHのこあきなです。
山梨の山奥で、ソーラーで電気を自給する暮らしをしています。
先日、自宅のソーラーパネルの発電量を真面目に実測しました。
うちの構成はパネル合計で定格1,410W。真夏の晴天、ほぼ正午という好条件で測った実測値は──
920W。定格の約65%でした。
「え、少なくない?」と思った方。わかります。僕も最初は「どこか壊れてるのか?」と疑いました。
でも原因を一つずつ潰していったら、これは故障じゃなくて、複数の”当たり前のロス”が積み重なった結果だとわかりました。今日はその内訳を、実測の数字と一緒に全部説明します。
まず前提:カタログの定格は「実験室の数字」
パネルに書いてある「270W」「200W」という定格は、STC(標準試験条件)という条件で測った値です。
- パネル温度25℃
- 日射強度1,000W/㎡
- 決められた光の質
この3つが揃った実験室での最大値が定格です。そして実際の屋外で、この条件が全部揃うことはまずありません。特に夏は。
「じゃあ実際はどれだけ目減りするのか」。うちの実測65%の内訳を見ていきます。
ロスの内訳①:暑さ(−5〜10%)
意外に思われるんですが、ソーラーパネルは暑いと発電が落ちます。
結晶シリコン系のパネルは、温度が25℃から1℃上がるごとに出力が0.3〜0.5%ずつ低下します。測定した日は甲府で熱中症警戒アラートが最高レベルまで出た猛暑日。外気温は35℃前後、直射日光を浴びたパネル表面はおそらく60℃以上です。
これだけで10%前後の目減りが普通に起きます。
「夏は日が長いから発電し放題」と思われがちですが、実は春や秋のカラッと晴れた日のほうが効率は良かったりします。うちのインバーターのPV回路温度も、この日は45℃まで上がっていました。
ロスの内訳②:日射そのものが定格条件より弱い(−5〜10%)
定格の前提である「日射強度1,000W/㎡」は、かなり理想的な数字です。
日本の夏は湿度が高く、空気中の水蒸気が日射を散乱させます。快晴に見えても、パネルに届く直達日射はSTC基準を下回ることが多いです。
ロスの内訳③:インバーターの変換効率(−8%前後)
パネルの直流をバッテリーや家電に使える形に変換する過程で、必ずロスが出ます。うちのHSI3000Uの仕様上の効率は92%以上。裏を返せば、最大8%はここで消えます。これはどのシステムでも避けられない固定費みたいなものです。
ロスの内訳④:逆流防止ダイオード(−2〜3%)
うちは2系統のパネルを並列でつないでいるので、逆流防止ダイオードが2本入っています。
このダイオード、電気を通すだけで1本あたり約15W前後を熱として消費します。2本で約30W。全体から見れば2〜3%ですが、確実に食われています。
このダイオード、先日熱で劣化しかけているのを発見して交換しました。その顛末は別記事に書いています。
ロスの内訳⑤:並列ミスマッチ(数%)
ここが一番マニアックで、一番面白いところです。
うちは200W×3枚の系統と270W×3枚の系統、仕様の違うパネル同士を並列にしています。2つの系統は最大出力が出る電圧(Vmp)が微妙に違うので、インバーターのMPPT(最大電力点を追いかける仕組み)はどちらかに妥協した電圧で動くしかありません。
結果、両方の系統が同時に100%の力を出せない。これが並列ミスマッチのロスです。
証拠:単機構成なら85%出ている
「その積み上げ、本当なの?」という検証として、ちょうどいい比較対象がうちにあります。
事務所のシステムです。
事務所では400Wパネル1枚をポータブル電源につないでいて、同じような晴天時に340W、つまり定格の85%出ています。
| 自宅 | 事務所 | |
|---|---|---|
| 構成 | 2系統並列(200W系+270W系) | 400Wパネル1枚 |
| 定格 | 1,410W | 400W |
| 実測 | 920W | 340W |
| 効率 | 65% | 85% |
単機ならミスマッチもダイオードもないので、温度と日射とMPPT変換のロスだけで済む。それが85%。
複数系統を並列にした瞬間、そこに構成由来のロスが上乗せされて65%まで落ちる。この20%の差が、「システムを組む複雑さの値段」です。
じゃあどうすればいいのか
正直に言うと、65%は改善対象というより、設計の前提にすべき数字だと思っています。
- 必要な電力から逆算するとき、パネルは定格の6〜7割で見積もる
- 「多すぎるかな」くらいの枚数を積む
- 仕様の違うパネルの並列は、便利だけどロスがあると知った上でやる
うちも次に増設するなら、同じ仕様のパネルで揃えます。でも今ある違うパネルを組み合わせて使い切るのも、DIYの現実です。完璧じゃなくていい、いいとこ取りで十分。
まとめ
定格1,410W、実測920W。この差は故障でも欠陥でもなく、
暑さ(10%)+ 日射の現実(5〜10%)+ 変換効率(8%)+ ダイオード(2〜3%)+ 並列ミスマッチ(数%)
という、それぞれは当たり前のロスの積み重ねでした。
カタログの数字と実測の数字、その間にあるものを知っておくと、システム設計の解像度が一段上がります。そして何より、「なんでこんなに発電しないんだ」と機材を疑う無駄な時間がなくなります。
というわけで、今回は「定格通り発電しない理由」の実測解説でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日もあなたの手で、素敵な1日を作ってくださいね。こあきなでした。
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