こんにちは、YAMANASHI TECHのこあきなです。
山梨の山奥で、ソーラーで電気を自給する暮らしをしています。
「ソーラーキット、これさえ買えばOKって書いてあるけど、実際どうなの?」
そう思って検索してたどり着いた方、正直に言います。
「これさえあればOK」は半分本当で、半分は罠です。
僕も最初はポータブル電源とソーラーパネルのセットさえ買えば完結すると思っていました。でも使い始めてからじわじわ気づく「あれ、これ不便じゃないか?」がけっこうあります。
この記事では、初めてDIY太陽光発電を検討している方に向けて、失敗しないキットの選び方と、僕が実際に事務所と自宅で使っているシステムをそのまま紹介します。
「予算はどのくらい必要?」「ポータブル電源って本当に使えるの?」「バッテリーはどれがいい?」という疑問に、順番に答えていきます。
キットを選ぶ前に確認すること3つ
まず、キットを探す前に自分に聞いてほしいことが3つあります。これを決めてから選ぶかどうかで、後悔の量がかなり変わります。
① 何の電気をまかないたいか
スマホの充電と、炊飯器とでは、必要な電力量がまったく違います。
- スマホ充電・照明・扇風機 → 小さいシステムでOK
- 電気ケトル・炊飯器・電子レンジ → 瞬間的に大きなW数が必要
- エアコン・洗濯機・冷蔵庫 → 本格的な固定設置が前提
「何となく電気代を下げたい」だと、選ぶべきものがブレます。「まずこれだけ自給できればOK」という1点を決めてから選ぶのがおすすめです。
② どこに設置するか
ポータブル電源+ソーラーパネルのセット(いわゆる「キット」)は、設置・撤去が簡単なのが最大の特徴です。ベランダ・車・アウトドア、どこでも使えます。
一方で、ある程度の電力を日常的に自給したいなら、パネルをしっかり固定して南向きに設置する「固定設置型」のシステムが必要になります。
どちらを選ぶかは「使い方の自由度を取るか、発電量と安定性を取るか」の話でもあります。
③ 予算はどのくらいか
ざっくりした目安はこのくらいです。
- 3〜5万円 → ポータブル電源+ソーラーパネルの入門セット
- 5〜10万円 → 容量大きめのポータブル電源か、小規模な固定設置
- 15万円以上 → 自宅の主電源を一部または大部分まかなう本格設備
予算と用途が決まったら、次はポータブル電源の話をしておきたいです。ここに「買ってから気づく落とし穴」があります。
ポータブル電源は便利だけど、クセが強い
ポータブル電源は、電池とインバーター(直流の電気を家庭用の交流に変換する装置)が一体になった機器です。ソーラーパネルをつなぐだけで発電・蓄電・使用まで完結するので、入門用としては確かに優秀です。
ただ、メーカーによって動作のクセがかなり違うことを知っておいてほしいです。
実際に僕が経験したり、周りから聞いた話でよくあるのがこのふたつ。
ひとつは、蓄電量が100%になった瞬間にソーラー入力が自動でオフになる製品があること。それ自体は正常な動作なのですが、問題はそのあと。蓄電量が少し減っても、翌日晴れてもソーラーからの充電が自動で再開しない機種があります。
毎朝手動でオンにしなきゃいけないの?って話ですよね。キャンプや停電時の一時使用なら問題ないですが、常時設置したい人にとってはけっこうキツいです。
もうひとつは、夕方になってソーラーからの発電がゼロになると、警告音が鳴り続ける製品があること。「接続が切れました」という意味なんですが、毎晩ピーピー鳴るのはさすがに困ります。
ポータブル電源はもともと「キャンプや停電時の一時的な利用」を想定して作られています。常時設置して毎日使い続けることは、設計の想定外だったりします。
だからこそ、こういう方にはおすすめです。
- 「まず試しに1台欲しい」
- 「旅先や車の中でも使いたい」
- 「固定設置よりも気軽に使いたい」
どこにでも持ち運べて、パネルを外すのも簡単で、気軽に使える。この「気軽さ」はやっぱり便利です。1台あって損はないと思います。
「固定設置して事務所や家の電気を毎日まかなう」という使い方をしたい方には、最初からそれ向きのシステムを選ぶ方が後悔が少ないです。ポータブル電源を常設することに、少しだけ無理があります。
では、固定設置するならバッテリーは何を選べばいいか。次に話します。
バッテリーは「何を選ぶか」で長期の満足度がまるで違う
固定設置型のシステムを自作するとき、核になるのがバッテリー(蓄電池)の選択です。
僕は今まで3種類を実際に使いました。
自動車用の鉛バッテリー
カーバッテリーの転用です。安く手に入るのが最大のメリットです。
ただ、長期で使うとかなり不満が出てきます。劣化が早くて、使っているうちに「定格容量の半分も使えない」状態になります。それだけならまだしも、充放電の際にガスを発生させる場合があるので、密閉した室内に置くのが怖くなります。
変なものを買うと、本当にゴミになります。小規模なシステムならまだいいですが、長く運用するつもりなら最初からやめておいた方がいいです。
ゴルフカートのディープサイクルバッテリー(中古)
「深く放電してもOK」な設計のバッテリーで、ヤフオクで中古品を手に入れて使っていた時期があります。出力のパワーはあるんですが、重すぎるのと蓄電量がいまひとつで。
今はリン酸鉄リチウム電池が安くなったので、わざわざこれを選ぶ理由がなくなりました。
リン酸鉄リチウム電池
今は事務所にも自宅にもこれを使っています。
発火リスクが極めて低いというのが一番の理由です。電池が充電されている状態でも安心して室内に置ける。これは思っている以上に大事なことです。
注意点がひとつだけあって、充電しないまま低い電圧で長期間放置すると使えなくなります。常時設置して毎日使い続けるシステムなら問題ないですが、長期間使わない予定があるときは満充電にしてから保管することをおすすめします。
常時固定設置するならリン酸鉄リチウム電池一択だと思います。価格も以前より下がってきているので、今が選びやすい時期でもあります。
では実際に、僕がどんな構成を組んでいるか全部話します。
実際に僕が使っている設備を、全部公開します
「で、あなたは何を使ってるの?」というのが一番気になるところだと思うので、数字込みでそのまま書きます。
事務所(2システム)
システム1:ポータブル電源+折りたたみパネル
- ポータブル電源:出力2400W・蓄電2kWh(2000Wh)のもの
- ソーラーパネル:400W 折りたたみタイプ 1枚
システム2:固定設置型
- ソーラーパネル:100W フレキシブルタイプ 4枚
- チャージコントローラー(MPPT方式):40A ※ソーラーからの電気をバッテリーに効率よく送る制御装置
- インバーター(直流→交流に変換する装置):1000W・24V対応
- リン酸鉄リチウム電池:24V 50Ah を3台 並列接続
この2システムで、事務所の電気をすべてまかなっています。
自宅(セミオフグリッド)
- ハイブリッドインバーター(自家発電と系統電力を自動で切り替える機器):3000W
- リン酸鉄リチウム電池:24V 50Ah を8台 並列接続
- ソーラーパネル:270W 3枚を直列 + 200W 3枚を直列、これを2系統並列
冷蔵庫・洗濯機・エアコン・テレビ・スマホなどの充電系。自宅で使う電気はほぼすべてソーラーでまかなっています。
その結果、電気代は高くても月2,000円台、安いときは基本料金の数百円だけです。
ひとつ強くおすすめしたいのは、「セミオフグリッド」という考え方です。つまり、ソーラーで自給しながら、電力会社との契約はそのまま残しておくこと。
梅雨の時期や機器のトラブルがあったとき、系統電力がつながっていると本当に助かります。完全にオフグリッドにして困る必要はない、というのが今の結論です。
ちなみに停電のときも、ソーラーシステムがそのまま動いていたので普通に生活できました。停電していることを、後から人に聞いて知ったくらいです。
ただ、全部が計算通りにいったわけじゃないです。ひとつ、正直に話しておきたいことがあります。
誤算だったこと:パネルのW数と実際の発電量のギャップ
体験を正直に書いておくと、ソーラーパネルのW数と実際の発電量のギャップがいちばんの誤算でした。
「400Wのパネル」と書いてあっても、日照時間・気温・パネルの角度によって実際の発電量はかなり変わります。晴れた夏の昼間と、曇りの冬の午後では、発電量が10倍以上違うこともあります。
「400W発電できる」は「条件が揃えば最大400W」という意味なので、全然発電できなくて困るという日も普通にあります。
だから、バッテリー容量とソーラーパネルの枚数は、余裕を持って設計するのがおすすめです。「多すぎるかな」くらいがちょうどいいと思います。
では最後に、初心者の方への具体的な進め方をまとめます。
初心者へのおすすめの進め方
ここまで読んで「じゃあ何から買えばいい?」という方向けに、シンプルにまとめます。
まず試したい人 → ポータブル電源+ソーラーパネルのセット
持ち運びもできるし、車中泊やキャンプにも使えるし、1台あると生活の幅が広がります。「まず動かしてみる」体験としては最適です。
ひとつだけ確認してほしいのは、パネルとポータブル電源の相性です。パネルの出力W数がポータブル電源の「ソーラー最大入力W数」以下になるように確認してください。これが合っていないと、充電されなかったり、機器が壊れることがあります。
僕が実際に確認して「この組み合わせなら動く」と判断したのがこの2つです。参考にどうぞ。
入門向け(スマホ・照明・小型家電)
中級向け(ノートPC・テレビ・小型家電)
本格的に自給したい人 → 固定設置型のシステム
ある程度の初期費用と設置の手間はかかりますが、長期で使うなら断然こちらです。バッテリーはリン酸鉄リチウム電池を選ぶことを強くおすすめします。
こんな人は、まだ待った方がいいかもしれません
- 設置場所が決まっていない
- 何に使うか、まだ決まっていない
- 「安そうだから」という理由だけで動きそう
「使い道が明確」になってから選ぶと、後悔がぐっと少なくなります。
まとめ
「DIY太陽光発電ってハードルが高そう」と感じていた方、多いと思います。
でも実際は、最初の一歩は思ったより難しくないです。ポータブル電源にパネルをつなぐだけなら、誰でもできます。「まずポータブル電源を1台持ってみる」から始めれば十分です。
完璧なシステムを一気に作ろうとしなくていい。最初の1台が動き始めれば、次に何が欲しいかが自然とわかります。僕の自宅の電気代が月数百円になったのも、最初の1台から少しずつ積み上げてきた結果です。そういうやり方の方が、個人的には好きです。
というわけで、今回はDIY太陽光発電キットの選び方と、僕の実際の設備紹介でした。
次の記事では、固定設置型のシステムをゼロから組む手順を書く予定です。配線の接続から設置まで写真つきで解説するので、お楽しみに。
→ [次の記事:固定設置型ソーラーシステムの組み方(準備中)]
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日もあなたの手で、素敵な1日を作ってくださいね。こあきなでした。


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