そのポータブル電源、冷蔵庫は動く?【防災用】家電別「できること・できないこと」全解説

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そのポータブル電源、冷蔵庫は動く?【防災用】家電別「できること・できないこと」全解説

防災のためにポータブル電源を検討するとき、誰もが思うことがあります。「スマホを充電できるのは分かった。でも、本当に知りたいのはそこじゃないんだ」と。

停電した時、本当に私たちの生活を左右するのは、「冷蔵庫の食材は?」「暖房は?」「ペットの命は?」といった、より深刻な問題です。

こんにちは、YAMANASHI TECHの私です。この記事では、巷のレビュー記事ではあまり語られない、ポータブル電源の「本当の実力」について、家電別に、具体的な数字を交えながら、徹底的に解説していきます。

【この記事の前提】
計算を分かりやすくするため、一般的なミドルクラスの製品として**「容量1000Wh」**のポータブル電源を基準に解説します。

目次

【本編】ポータブル電源「家電別」実力徹底検証

【最優先】精神的な安定を保つ「日常の光景」編

具体的な家電の話に入る前に、私が防災において最も重要だと考えていることをお話しさせてください。それは、「精神的な安定を保つための電力」を確保することです。

以前、私の住む地域で河川が決壊し、大規模な停電が発生しました。突然訪れた暗闇と静寂の中で、人々はそわそわと落ち着きをなくし、強いストレスに晒されます。

その時、ポータブル電源で何よりも助かったのが、「照明」「テレビ」でした。

照明とテレビ:日常を再現する最強のツール

◎ 精神安定の要

煌々と家が明るいこと。そして、いつもと同じテレビ番組が流れていること。もちろん、テレビは災害情報を得るためにも重要です。しかし、それ以上に、バラエティー番組やドラマを眺めていると、「いつもと同じだ」と感じられ、張り詰めていた心が不思議と落ち着いていくのです。

この「日常の再現」こそが、非常時における最高の精神安定剤だと、私は身をもって学びました。

【具体的な消費電力の目安】

  • LED照明: 一部屋あたり約10W。家全体を明るくしても数十Wです。
  • 40インチ液晶テレビ: 省エネモデルなら約80W
  • ノートPC + Wi-Fiルーター: テレビの代わりにPCで動画を見る方もいるでしょう。ノートPC(約50W)とルーター(約10W)を合わせても合計60W程度と、テレビより省エネです。デスクトップPCの場合は約150Wを見ておくと良いでしょう。

1000Whの電源があれば、照明をつけながらテレビやPCを10時間以上も利用できます。夜の間、家族が安心して過ごすには十分な時間です。

1. 命を守る「寒さ・暑さ対策」編

電気毛布

◎ 最適解

消費電力は約50Wと非常に省エネ。1000Whの電源なら、単純計算で【1000Wh ÷ 50W = 20時間】も使えます。これなら、停電が続く夜でも、一晩中つけっぱなしで暖かく過ごせます。冬の防災の主役級アイテムです。

灯油・ガスファンヒーター

◎ 裏ワザ的最適解

意外に思われるかもしれませんが、これは最強の暖房手段です。電気を使うのは点火時(100W以上)と運転中のファン(約20W)だけ。1000Whの電源なら、一度点火してしまえば【1000Wh ÷ 20W = 50時間】、つまり2日以上もファンを回し続けられます。燃料と電気のハイブリッド、これぞ防災の知恵です。

電気ストーブ・セラミックヒーター

× 絶対NG

熱を直接生み出す家電は、例外なく電力の大食いです。弱モードですら500W以上を消費。1000Whの電源では【1000Wh ÷ 500W = 2時間】もたずに空になります。防災用途には全く向きません。

扇風機・サーキュレーター

◎ 夏の神様

夏の停電では、熱中症対策が死活問題になります。扇風機の消費電力は約30W。1000Whの電源なら【1000Wh ÷ 30W = 33時間以上】も連続で使えます。これ一台あるだけで、体感温度は大きく変わり、家族の体力を守ってくれます。

2. 食を確保する「キッチン」編

小型冷蔵庫(1ドアタイプ)

△ 延命措置レベル

安定時の消費電力は50W程度ですが、問題は起動時。コンプレッサーが動き出す瞬間、数百Wの電力を要求します。また、庫内が冷えれば止まり、温まれば動く、というサイクルを繰り返すため、計算が非常に難しい。1000Whの電源では、数時間で尽きてしまう可能性が高く、あくまで「貴重な食材の腐敗を、少しだけ遅らせる」ための緊急手段と割り切りましょう。

炊飯器

△ 一発勝負

3合炊きの一般的な炊飯器は、炊飯中に約600Wもの電力を消費します。炊飯時間が30分だとすると、それだけで【600W × 0.5h = 300Wh】を消費。1000Whの電源の、実に1/3を一食で失う計算です。「どうしても温かいご飯が食べたい」という時に、有り金の1/3をはたく覚悟で使う、贅沢品と言えるでしょう。

電子レンジ・IHヒーター・電気ケトル

× 絶対NG

これら高熱トリオは、すべて消費電力が1000Wを超えます。ポータブル電源では、そもそも動かせないか、動いたとしても一瞬でバッテリーを空にするだけです。停電時の調理は、カセットコンロに任せましょう。

3. 必須の「情報・通信」編

スマートフォン充電

◎ 最重要任務

スマホは現代のライフライン。1回のフル充電に必要な電力量は約15Whです。1000Whの電源があれば【1000Wh ÷ 15Wh = 66回】以上も充電可能。家族全員のスマホを、何日でも満充電に保てます。

ノートPC・Wi-Fiルーター

◎ 現代のライフライン

ノートPCの消費電力は約50W。1000Whあれば【20時間】近く使えます。Wi-Fiルーターはさらに省エネで、消費電力10W程度。1000Whなら【100時間】、つまり4日間以上もネット環境を維持できます。災害時の情報収集や安否確認に、絶大な威力を発揮します。

4. 大切なペットを守る「水槽」編

△ 条件付きで可能

ペットも大切な家族。特に水槽で魚を飼っている家庭にとって、停電は死活問題です。例えば、ろ過ポンプ(120W)、ヒーター(120W)、ライト(60W)という構成の水槽があったとします。

まず、消費電力の大きいヒーターとライトは諦める、という判断が必要です。しかし、魚の命に直結するろ過ポンプ(120W)は、動かし続けることが可能です。1000Whの電源なら【1000Wh ÷ 120W = 約8.3時間】動かせます。

「8時間じゃ不安だ」と思いますよね。しかし、ここに**ソーラーパネル**を組み合わせれば、状況は一変します。日中、パネルで発電した電力でポンプを動かし、同時にバッテリーにも充電する。梅雨のような長雨でない限り、大切な魚の命を守り続けることができるのです。

結論:あなたの「やりたいこと」を叶えるには?

ここまで読んで、お分かりいただけたかと思います。ポータブル電源が「使える」かどうかは、あなたの「使いたい家電の組み合わせ」と「使いたい時間」によって、全く答えが変わってくるのです。

そして、その計算は、正直とても面倒です。

「私の持っているこの家電と、この家電を、停電が3日続いても使うには、本当はどのくらいの容量のポータブル電源と、どのくらいの大きさのソーラーパネルが必要なんだろう?」

その、あなたのための「専用の答え」を、一瞬で導き出すのが、私の開発したアプリです。

あなたのための「専用マニュアル」を作ります

この記事が「共通の教科書」だとしたら、DIY太陽光発電シミュレーター**「ソーラーレシピ」**は、あなたの状況に合わせた「あなた専用の回答書」です。

あなたが使いたい家電をリストから選ぶだけで、

  • その組み合わせに必要なポータブル電源の容量(Wh)
  • その電源を充電し続けるために最適なソーラーパネルの大きさ(W)

これらを、具体的な製品候補と共に、ピンポイントで提案します。もう、カタログの数字に悩む必要はありません。


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【この記事を書いた人】

著者「たすけ」のプロフィール写真

たすけ / YAMANASHI TECH

電気が通っていない山梨の古屋を手に入れたことをきっかけに、独学で太陽光発電を学び、現在では複数の独立型電源システムを設計・運用。自身の「初心者の頃につまずいた経験」を元に、誰もが安全・低コストで太陽光発電デビューできるアプリ「ソーラーレシピ」を開発。YAMANASHI TECHのメンバーとして、DIYで暮らしを豊かにする技術情報を発信している。


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