【インバーター選び方ガイド】失敗しないための全知識!定格・最大・突入電流を徹底解説
「やった!これでPCも工具も動かせる!」
数年前、私が初めてインバーターを手にした時の高揚感を、今でも覚えています。仕様には「1000W-2000W」の文字。これで最大2000Wまで使えるんだと、疑いもしませんでした。
…その考えが、最初の大きな間違いでした。
こんにちは、YAMANASHI TECHのたすけです。この記事では、DIYソーラー発電の心臓部でありながら、最も多くの初心者がつまずく部品、「インバーター」の正しい選び方について、私のリアルな失敗談を交えながら、どこよりも詳しく解説します。
1. なぜインバーター選びは、こんなにも重要なのか?
インバーターは、バッテリーに蓄えられた直流(DC)の電気を、家庭用のコンセントと同じ交流(AC100V)に変換してくれる「翻訳家」のような存在です。この翻訳家選びを間違えると、
- 使いたい家電が動かない(ただの箱になる)
- 家電やインバーター自身が壊れる
- せっかく貯めたお金をドブに捨てることになる
という最悪の事態に陥ります。そうならないために、まずは私の最初の失敗から学んでください。
失敗談①:「定格出力」と「最大出力」の罠
私が購入した「1000W-2000W」のインバーター。ワクワクしながら接続を終え、説明書を読んで、私は愕然としました。
「2000Wは、あくまで一瞬の高出力に耐えられる最大(瞬間)出力。安定して使い続けられるのは定格出力である1000Wまでです」
これは、短距離走の選手に「君は最高時速40kmで走れるから、そのスピードでマラソンを走れ」と言っているようなものです。無理に決まっていますよね。
- 定格出力: インバーターが安定して出し続けられる電力。インバーター選びは、まずこの数値を基準に考えます。
- 最大(瞬間)出力: 起動時など、ごく短い時間だけ耐えられる電力。
インバーターの本当の実力は「定格出力」。まずはこの事実を、肝に銘じてください。
失敗談②:「突入電流」という見えない怪物
定格1000Wという現実を知った私ですが、「まあ、消費電力370Wの掃除機くらいなら余裕だろう」と考えていました。
…これも、甘い考えでした。
スイッチを入れると、インバーターは「ブォォォン!」と、うなり声を上げ、掃除機はなんとか動くものの、明らかにパワーが足りない。インバーターの冷却ファンは回りっぱなしで、いつ壊れてもおかしくない状態でした。
原因は、モーターを使った家電特有の「突入電流」です。これは、動き出す瞬間にだけ、定格消費電力の2倍〜5倍もの電力を要求する現象です。私の370Wの掃除機は、起動時に1000W近い電力を要求していたのです。
【経験から得た教訓】
モーターを使う機器(掃除機、冷蔵庫、ポンプ、電動工具など)を動かしたい場合、インバーターの定格出力は、使いたい家電の消費電力の最低でも3倍、できれば5倍の余裕を見ておかないと、私のように後悔することになります。
結局私は、そのインバーターを使うのが怖くなり、もう一つ上のグレードの製品を買い直すことになりました。
3.【重要】波形は必ず「正弦波(Pure Sine Wave)」を選ぶ
インバーターには、出力される電気の波の形(波形)に種類があります。下の図を見てください。
- 正弦波(Pure Sine Wave): 家庭のコンセントと同じ、滑らかで綺麗な波形。全ての家電が安心して使えます。
- 矩形波・修正正弦波: カクカクした擬似的な波形。安価ですが、多くの機器で問題が発生します。
なぜ疑似正弦波はおすすめできないのか?
「安いなら、疑似正弦波でもいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、そのカクカクした波形が、精密な動作を要求される現代の家電にとって「ノイズ」や「歪み」となり、様々な不具合を引き起こすのです。
私も経験がありますが、疑似正弦波のインバーターを使うと、モーターの回転音がやけにうるさくなったり、LED照明がチカチカとちらついたりすることがあります。
これは、モーターや電子回路が綺麗な波形を前提に設計されているため、歪んだ波形によって正常に動作できなくなるのが原因です。最悪の場合、家電やインバーター自身の故障につながることもあります。
「安物買いの銭失い」を避けるためにも、インバーターは迷わず「正弦波」を選んでください。
私の後悔と、 wasted money(無駄にしたお金)から生まれたアプリ
ここまで読んで、いかがでしたか?
「定格出力と最大出力…」「突入電流は3倍以上…」「波形は正弦波…」
正直、面倒ですよね。そして、一度でも間違えれば、数万円の出費が水の泡になるかもしれないというプレッシャー。
私が最初に買った、あのインバーター。
結局、一つ上のグレードのものを買い直したため、最初のインバーター代は、私の知識不足が招いた完全な”wasted money”(無駄金)となりました。
この記事を読んでいるあなたに、私と同じ後悔を、同じ”wasted money”を経験してほしくない。
その一心で、私の失敗から得た知識と計算式を全て詰め込んで開発したのが、DIY太陽光発電シミュレーター「ソーラーレシピ」です。
このアプリは、あなたが「掃除機を動かしたい」と選ぶだけで、
- 掃除機の突入電流を自動で考慮し、
- それに耐えうる「定格出力」を持った、
- 「正弦波」のインバーターを、
- 数ある製品の中から自動で選び出して提案します。
私がインバーター選びで後悔しながら学んだ全てが、このアプリには詰まっています。
私が支払った”wasted money”は、このアプリを開発するための、いわば授業料でした。
あなたには、その授業料を払う必要はありません。
失敗という遠回りをせず、最初から正解だけを選びたいと本気で願うなら。ぜひ一度、この「答え」に触れてみてください。
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